捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

亮介がずっと凛を好きだったなんて、それが本当ならどれだけ嬉しいだろう。

曖昧に微笑むと、うんうんとひとり納得して頷いた恵梨香が、ふと真顔になって身を乗り出してきた。

「ねぇ、チーフとは大丈夫なの?」
「え?」
「最近よく話しかけられてない?」
「そうなんです。実は少し困ってたんですけど……」

凛は孝充のここ数日の言動について話した。

仕事を手伝うとデスクまで来たり、話がしたいからと仕事終わりに食事に誘われたり、やたらと絡んできた。

芹那とは出来心だった、凛が副社長と結婚すると言い出したのは自分に対する当てつけだろうと決めつけて話してきたため、一切関係ないし迷惑だから話しかけないでほしいと告げると、それ以降むやみに話しかけられることはなくなったのだ。

「なにそれ、めちゃくちゃ腹立つ言い分ね」
「でも、もう大丈夫だと思います」

最近孝充は頻繁に有給を使っていて、今日も休みをとっている。

きっと芹那が色々と暴露したせいで居づらくなったため転職を考えているのだろうともっぱらの噂だ。

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