捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
創立記念レセプションの準備を放り出して辞められては困る一方で、もう自分には関係ないと気に止めないようにしている。
「そっか。ちゃんと解決してるなら安心した。改めて、婚約おめでとう」
「恵梨香さん、ありがとうございます」
孝充と一年近く交際していたのを知っている恵梨香が、急な亮介との結婚に対して不信感を持つのではないかと少し心配していた。
けれど彼女はこうして凛を心配し、祝福してくれる。そんな優しい先輩がそばにいてくれるなんて、とても恵まれた環境だとしみじみ思う。
精一杯の感謝を込めて、凛は恵梨香に笑顔を向けた。
昼休憩から戻ると、パソコンに異常は見られず業務は順調に進んだ。
連日の残業で首や肩はバキバキに凝っているし、酷使している目にも疲れがたまっているのがわかる。
けれど今を乗り越えれば新たな素晴らしいコスメブランドを世に送り出せるのだと思うと、仕事は苦ではなかった。