捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

(今の私の心の中には、亮介さんしかいないんだな)

本当なら凛も結婚するのだと報告したいところだが、亮介の結婚はまだ社外に発表されていない。相手を聞かれても困ってしまうため、黙っておくことにした。

(なんだか、無性に亮介さんに会いたい)

先程まで一緒に働いていたというのに、もう会いたくなってしまった。

彼から働きすぎだから先に帰るようにと言われて退社したが、きっとまだ亮介は会社にいるだろう。明日こそ亮介にも早めに帰って休めるように、スケジュールを見直してみなくては。

「そろそろ行こうか。久しぶりに会えて嬉しかったよ」
「うん、私も」

会計を終えて店を出ようとすると、慣れないヒールのパンプスのせいか、段差に躓き転びそうになった。

「おっと」

抱きとめるように支えてくれた修平にお礼を言い、慌てて体制を整える。

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