捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

【副社長秘書・立花凛は、美堂の開発部社員とただならぬ仲。立花は彼にリュミエールの情報を流している】

根も葉もない文面とともに、下にはご丁寧に画像まで添付されている。

男女がカフェの入口付近で抱き合っているような写真だった。男性の方は背中を向けているため顔は判別できないが、女性の方は明らかに凛だとわかる。

(これ、この前修ちゃんと自宅近くで会った時の……?)

一瞬だけを切り取られると抱き合っているように見えるが、実際には凛が転びそうになったところを支えてもらっただけで、決して疚しいことはない。

物陰から撮られたようなアングルで、明らかに悪意のある隠し撮りに、凛は恐怖に身を竦める。それと同時に、あの日後ろからの視線を感じて振り返ったことを思い出した。

(もしかして、ずっと見られてたの……?)

メールの文面は明らかに情報漏洩の犯人を凛に仕立て上げようとするもので、身に覚えのない凛にとって恐怖と困惑だらけだ。

「凛? どうしたの?」

恵梨香が凛の様子がおかしいことに気付き、手元を覗き込む。

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