捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

持てる手段をすべて使って情報をかき集め、現在の状況把握に努めた。

『クリエ』というブランドが春コスメの目玉としてリニューアルを打ち出したようだが、既存のブランドコンセプトとかなりズレがある。

美堂の中にはもちろんデパコスと呼ばれる高価格帯のブランドもあるが、クリエはドラッグストアやバラエティショップを中心に展開されているブランドで、ターゲット層は主に学生などメイク初心者の女性だ。

ベーシックでデイリー使いしやすいカラー展開かつ比較的手頃な値段で手に入るとあって、どこのドラッグストアでもよく目にするコスメブランドのひとつである。

そのクリエが今回リュミエールの新ブランドのコンセプトや価格帯に寄せたことによって、かなり大幅な値上げとなり、パッケージの印象もガラッと変わる。白地に小花柄モチーフで、どのコスメも角がなく曲線的なデザインだったクリエが、一挙に路線変更をした形だ。

ブランドとしての格を高めたかったのだろうが、内容自体はベースメイクの美容成分の配合が多少変わったことと、既存のリップにマットタイプが新作として発売されること、アイシャドウとリップに限定色が出るだけで、著しい変化は見られない。

凛のデスクの中にあったUSBに原料の配合率などの処方までコピーされていたのを見て肝が冷えたが、あの情報は渡っていないか、手に入れたのは最近で処方まで真似る時間はなかったのだろう。

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