捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

ここにいるメンバーは誰も凛を疑っていないのだと感じ、彼女の仕事ぶりが評価されているのだと嬉しくなった。亮介も大きく頷き返す。

「情報漏洩の件はこちらで調査する。気になるだろうが周りの雑音に惑わされず、今は目の前の仕事に集中してほしい」

ひとりひとりの顔を見ながら告げ、会議を締めた。

(あとは、誰がなんの目的で凛に罪を着せようとしたのか……)

亮介は通常業務をこなす傍ら、友人の弁護士に連絡をとった。

如月法律事務所という国内有数の弁護士事務所で働く高城大和とは大学の同期だ。

学部は違ったが、一般教養や英語などいくつか同じ授業を取っており、たまたま隣の席に座ったのがきっかけで話すようになった。

互いに多忙なためあまり頻繁には会えないが、大学を卒業して十年近く経った今でも交流がある。

『珍しいね、海堂から連絡をくれるなんて』
「忙しいのに悪い。相談料は言い値で払う、少し時間をくれないか。聞きたいことがあるんだ」

挨拶もそこそこに切り出すと、大和はなにか察したのか『俺の時間はそこそこ高いよ』と笑って了承してくれる。

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