捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

「助かった。今聞いた方法をいくつか調べることにする」
「役に立てたのならよかった。それより情報漏洩なんて穏やかじゃないな。大丈夫なのか?」
「あぁ。なんとかする。このまま野放しにはしない」

新ブランドの情報が漏れたのはもちろん、その罪を凛になすりつけようとしたことが亮介の怒りを増幅させていた。

彼女がどれだけ真面目に真摯に仕事に取り組んでいるのか、一番間近で見てきたのだ。その努力に泥を塗るような行為を、決して許しはしない。

亮介は「礼はこの件が片付いたら改めてさせてもらう」と告げて電話を切ると、情報システム部へと急いだ。

情シスの部長に優秀な社員を貸してほしいと申し入れ、チーフ職についている井戸田という男性社員を連れて足早に重役フロアに戻った。

彼とふたりで秘書室から凛のパソコンを副社長室へ移動させ、くれぐれも内密にと念押しして情報漏洩の疑いがあることを話す。

井戸田に凛のパスコードを一旦リセットしてもらい、大和から聞いた手口を片っ端から調べていく。当然だが怪しげなメールや無関係なプロバイダーと契約しているような痕跡はない。

しばらくパソコンを弄っていた井戸田が驚いた声を上げた。

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