捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

「あっ、副社長が仰っていた通りでした!」

大和から聞いた通り、リモートデスクトップの共有設定がONになっている。やはり誰かが凛のパソコンに外部からアクセスするために設定を変更したのだろう。

凛のパソコンに触れられるのは秘書室の人間のみだ。それ以外の人間が秘書室に入ることは稀だし、そうでなくとも他人のパソコンに触っていれば目立つ。

(誰にも見つからずに凛のパソコンに触れる時間なんてあるか……?)

疑問を感じながらリモートデスクトップの設定をOFFに切り替え、外部から凛のパソコンに接続したログを探ってもらう。

「ありました。えっと、二件ありますね。それぞれ別の端末で、両方とも履歴は今月です」

外部からの接続の証拠が見つかったため、少なくともこれで凛の疑いは晴れる。あとはこんな重大インシデントを引き起こした人物をあぶり出すだけだ。

(共犯者がいるのか、それとも……)

目星をつけている男の顔を思い浮かべながら、亮介は尋ねた。

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