捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
黒子として地味なスタイルに徹している姉とは違い、制服を緩く着こなし、外ハネボブにインナーカラーを入れ、ケバくならない程度にメイクも施すなど、きちんとおしゃれをして女子高生ライフを謳歌している。
高校三年生だが、ふたりともすでに美容専門学校への進学を決めているため受験戦争とは無縁で、忙しい母や凛に代わって家事を引き受けてくれている。
さらに彼女たちはSNSで自分たちが気に入ったお菓子やコスメ、文房具などを紹介する動画などをアップしていて、かなりのフォロワー数がいる。
いわゆるインフルエンサーというもので、流行に敏感な若者の間ではちょっとした有名人らしい。
「ねぇ、ここ最近働きすぎじゃない?」
「うん、さすがにやばいよ」
「心配させてごめん。今はちょっとバタバタしてるけど、あと半年もすれば落ち着くと思う。それにちゃんと残業代はもらってるし」
「せめて遅くなるならどこかでご飯食べて、タクシーで帰ってきなよ」
「えぇ? もったいないよ」
「お金が気になるなら、うちらが企業のPR案件受けるよって言ってるのに」
「それはダメ」
家にお金を入れるためにクタクタになって働く凛に、双子は「PR動画を受けて稼ぐよ」と言ってくれる。