捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

ローテーブルに広げられたサンプル品を片付けるのを手伝い、ふたりが頭を下げて部屋を出ていくのを見送った。

亮介とふたりきりの空間になると、デスクに座り資料を眺めていた彼から声をかけられた。

「実際にフルメイクしてみた使用感はどうだ? 率直な感想が聞きたい」
「質の高さに驚きました。ベースメイクは軽くて素肌感があるのにしっかりカバーできますし、アイシャドウも各パレットどれも可愛かったです。ひとつのパレットでこんなにも印象が変わるんだって驚きでした」
「パレットはこれまでにない配色を狙ったからな。ベーシックなものと奇抜さギリギリのラインを攻めたものと、うまくバランスが取れている」
「そうですね。自分に似合うものを選んだり、新しい自分に出会うカラーを探すのも楽しそうです」

凛が感動を抑えきれずに興奮気味に言うと、亮介がそれまでの冷静な表情から一転、口元を緩ませた。

「立花は元々化粧映えする顔立ちだ。今日のシンプルな色だと素材が活きて可愛くなるし、きっとブラウンやローズ系の色を乗せればグッと大人の女性の雰囲気になるだろうな」

仕事の話に褒め言葉を織り交ぜられ、どう反応していいのか迷っていると、亮介は思い出したように目を細める。

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