捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
「これが立花が言っていた『キラキラした魔法みたいなコスメ』の力ってやつか」
凛が以前、外回りに行く車内で亮介に語った入社のきっかけの話だ。
『私って女の子なんだなって思わせてくれる、キラキラした魔法みたいなコスメが大好きになって、私もそれを作り出すお手伝いがしたいと思ったんです』
他人の口から聞くと、キラキラした魔法という言葉がなんとも幼稚な感じがして恥ずかしくなる。しかし亮介は気にする様子もなく、続けて聞いてきた。
「今日のメイクで、自分が女性だと実感できたか?」
真剣に問う彼を真っすぐに見つめる。
新ブランドのコスメでメイクしてもらったのもテンションが上がったが、なにより亮介にリップを塗ってもらった瞬間、彼にときめく気持ちが溢れてしまいそうだった。
それがなにより自分が女である証に思えて、凛はチーク以上に真っ赤に染まった頬を押さえて頷いた。
「はい」
「合格祝いにリップをもらった時よりも?」
「え?」