キミと掴む、第一歩。
「なぜならぁ、あたしはぁ、タキくんのことが、っすきだから……!!」
「ぎゃははははっ」
「宮橋、お前まじ演技力高すぎな?」
「脚本がいいねぇ、脚本が」
体育の授業が終わったあと。女子は更衣室、男子は教室で着替えるのだけれど。
教室に戻ってきたとき、クラス内の空気がなんだか嫌な流れをしていて、身体中の鳥肌がぶわわっと立ったのを今でも覚えている。
「お、ご本人登場!」
「ナイス脚本だったよ、ウケるわ」
「妄想やばいな、お前」
にやにや。
男子特有の、全身を凍り付かせるような笑み。悪口を言ったり、何か隠し事がある時にする、わたしが大っ嫌いな目だ。
「なんの、こと……?」
目を合わせて、嗤い合う男子たち。嫌な予感は、ずいぶん前からしていた。
「これだよ」
バサッ、と机の上に乱雑に広げられた小説ノートを見た瞬間、身体の力がスウッと抜けていくような気がした。
ああ、終わった。