キミと掴む、第一歩。
 うまく酸素が取り込めなくなって、頭が痛くなる。周りの視線が、四方からわたしを突き刺していた。


「なん、で……これを」
「お前が俺の机に置いておくから悪いんだろ」
「っ、え……?」
「見てください、ってことかと思ったぜ」


 おかしい、明らかに何かがおかしい。
 だって、ノートはいつもカバンにしまっていて、置きっぱなしにするなんてありえない。

 男子に見られてしまった絶望よりも、もっと嫌な予感がする。悪寒が走った。


「……だ、れ」


 クラス中を見渡すと、ドアのそばでこちらを見ていた女子たちと一瞬目が合う。けれどすぐに逸らされてしまった。


(ああ、わたし)


 裏切られたんだ。
 バカにされるのがこわくて、男子には頑なに見せなかったわたしのことを知りながら。

 彼女たちは、こうしてわたしにイジワルしたんだ。

 その瞬間から、わたしは人を信じることができなくなった。

 そして、【小説を書くのが好き】なわたしは、異質な存在なのだと。
 周りから見たら、笑うべき変な存在なのだと。


 そう、強く認識した。
 認識せざるを得なかった。
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