キミと掴む、第一歩。
 近くの公園に足を進めていると、後ろから急に「史倉!」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。
 不思議に思って振り返ると、部活のジャージを着た瀬尾くんが、規則正しいテンポでこちらに走ってきたところだった。


「どうしてこんなとこ……」
「史倉もおいで! さぁ、はやく!」
「えっ、ちょ……!」


 掛け声に混乱したまま、足は勝手に走り出す。タッタッタッタと地面を蹴って進む彼の背中を追う。

 息が苦しい。だけど、瀬尾くんに置いていかれたくない。
 ときおり後ろを振り返りながら、そのたびに笑顔を向けてくれる瀬尾くん。そんな彼の背中なら、どこまでも追いかけていけるような気がした。
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