キミと掴む、第一歩。
親友という存在
「瀬尾くん呼びにいってくれてありがとう」
「どーいたしまして。よかったね、丸く収まって」


 先日瀬尾くんを呼びにいってくれたたまちゃんへのお礼をするために、わたしたちは駅前のカフェに来ていた。


「別にここまでしなくてもいいのに」
「いや、とーぜんっ!」
「あはは。じゃあ、めずらしいから記念ってことで」
「まかせなさいっ!」


 カフェモカをふたつ注文して、窓際の席から外をながめる。
 私服姿のたまちゃんは、学校の時とは違ってパンツスタイルだからクールだ。


「ゆきりの小説、大好評で良かったじゃん」


 そう、肝心の小説といえば。
 意外と面白い、読めなくはない、続きはまだか、といった評価を無事いただきまして。


「……バカにして、本当にごめん」


 田中くんに、再び謝られた昨日。
 クラスでのプチ話題として取り上げられ、当然その場にいなかったたまちゃんにも伝わってしまった。


「その……ごめんね、たまちゃん。隠してて」


 気を悪くさせちゃったかもしれない。わたしのヒミツを、クラスメイトよりもあとに知ることになっちゃったから。
 そのときちょうど運ばれてきたカフェモカ。

 を、一口飲んだたまちゃんは「べつに」と言葉を発した。
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