キミと掴む、第一歩。
瀬尾くんがケガをしたのは、ちょっとしたアクシデントがきっかけだったそうだ。階段でじゃれあっていた男子の一人が、肩にぶつかったことが発端。持ち前の運動神経で階段を転げ落ちることはなかったものの、着地の際に靭帯を痛めてしまったとのこと。
「それで……サッカーへの支障は」
「まぁ、そこそこ。頑張って戻れたとしても、結構時間かかるんだって」
「じゃあ、それは」
「まぁ、そういうことかなって」
何を、言ってるの。まさか、ここで諦めるつもりなの。サッカーすらもやめてしまうの?
違うよ、こんなの瀬尾くんじゃない。本心じゃない。
無理してるんだ。
「ねえ瀬尾くん」
何を差し出せばいい?
瀬尾くんの頑張りと等価なものを、わたしは何か持っているだろうか。
「わたし……コンテストに、出すから」
「……」
「だからなにって話かもしれないけど、わたしも頑張るから。瀬尾くんも、一緒にがんばろうよ」
その時の言葉は、あまり覚えていない。ただ、必死だった。どうやったら瀬尾くんがまた前を向いて、こっちをみてくれるのか。そんなことをぐるぐる考えていた。
「瀬尾くん。わたしね」
すうっと息を吸って、一言。
ああ、言いたいなって、思った。
「頑張ってる瀬尾くんが好きだよ」
その瞬間、瀬尾くんの瞳が揺らぐ。下に向いていた目がゆっくり、ゆっくり前を向く。
「わたしを守ってくれた瀬尾くんも、授業中の瀬尾くんも、休み時間に男の子と話してる瀬尾くんも、公園で会った時の瀬尾くんも、好き」
「……し、くら」
「だけどね、やっぱりサッカーしてる時の瀬尾くんがいちばん好きなんだ」
圧倒的に目を惹かれるのは、サッカーをしている瀬尾くんだから。わがままを言ってもいいのなら、ピッチ上で活躍している瀬尾くんをみていたい。
「それで……サッカーへの支障は」
「まぁ、そこそこ。頑張って戻れたとしても、結構時間かかるんだって」
「じゃあ、それは」
「まぁ、そういうことかなって」
何を、言ってるの。まさか、ここで諦めるつもりなの。サッカーすらもやめてしまうの?
違うよ、こんなの瀬尾くんじゃない。本心じゃない。
無理してるんだ。
「ねえ瀬尾くん」
何を差し出せばいい?
瀬尾くんの頑張りと等価なものを、わたしは何か持っているだろうか。
「わたし……コンテストに、出すから」
「……」
「だからなにって話かもしれないけど、わたしも頑張るから。瀬尾くんも、一緒にがんばろうよ」
その時の言葉は、あまり覚えていない。ただ、必死だった。どうやったら瀬尾くんがまた前を向いて、こっちをみてくれるのか。そんなことをぐるぐる考えていた。
「瀬尾くん。わたしね」
すうっと息を吸って、一言。
ああ、言いたいなって、思った。
「頑張ってる瀬尾くんが好きだよ」
その瞬間、瀬尾くんの瞳が揺らぐ。下に向いていた目がゆっくり、ゆっくり前を向く。
「わたしを守ってくれた瀬尾くんも、授業中の瀬尾くんも、休み時間に男の子と話してる瀬尾くんも、公園で会った時の瀬尾くんも、好き」
「……し、くら」
「だけどね、やっぱりサッカーしてる時の瀬尾くんがいちばん好きなんだ」
圧倒的に目を惹かれるのは、サッカーをしている瀬尾くんだから。わがままを言ってもいいのなら、ピッチ上で活躍している瀬尾くんをみていたい。