キミと掴む、第一歩。
「あのな、ゆきり」
「ん……?」
「言いたいことあるんだったら、はっきり言えよ」
お父さんもお母さんも、お兄ちゃんに任せることにしたみたいだ。黙ってご飯を口に運びながら、意識だけをこちらに向けている。
「……協力、してくれる?」
「内容によるな。犯罪とかなら無理だぞ」
「分かってるよそんなこと……!」
思わず声をあげると、クツクツと笑ったお兄ちゃんは「なんだよ」と言った。
「家族はいちばんの味方なんだから、言ってしまえよ。だいたいのことはなんとかなるよ」
「笑わない……?」
「将来の夢がコツメカワウソになりたいとかだったら笑うな」
「コツメカワウソに失礼だよっ!!」
むだな茶化しを入れながら、なかなか本題に切り込まないお兄ちゃん。それはきっと、お兄ちゃんなりの優しさだったんだと思う。
「わたし……小説を、書いてて」
その証拠に、わたしがようやく言葉に出したとき、お兄ちゃんはスッと真剣な顔をして、うなずいてくれた。
震えていた唇。指先。暴れ出しそうな心臓。それらがすべて、顔を見るだけで収まっていく。
「賞に応募しようと思うんだけど、一人じゃできないから、一緒に手伝ってほしいんだ」
吸って、吐いて。また吸って。
ふうっと吐いた時、お父さんが「そんなことだったか」と口を開いた。
「ん……?」
「言いたいことあるんだったら、はっきり言えよ」
お父さんもお母さんも、お兄ちゃんに任せることにしたみたいだ。黙ってご飯を口に運びながら、意識だけをこちらに向けている。
「……協力、してくれる?」
「内容によるな。犯罪とかなら無理だぞ」
「分かってるよそんなこと……!」
思わず声をあげると、クツクツと笑ったお兄ちゃんは「なんだよ」と言った。
「家族はいちばんの味方なんだから、言ってしまえよ。だいたいのことはなんとかなるよ」
「笑わない……?」
「将来の夢がコツメカワウソになりたいとかだったら笑うな」
「コツメカワウソに失礼だよっ!!」
むだな茶化しを入れながら、なかなか本題に切り込まないお兄ちゃん。それはきっと、お兄ちゃんなりの優しさだったんだと思う。
「わたし……小説を、書いてて」
その証拠に、わたしがようやく言葉に出したとき、お兄ちゃんはスッと真剣な顔をして、うなずいてくれた。
震えていた唇。指先。暴れ出しそうな心臓。それらがすべて、顔を見るだけで収まっていく。
「賞に応募しようと思うんだけど、一人じゃできないから、一緒に手伝ってほしいんだ」
吸って、吐いて。また吸って。
ふうっと吐いた時、お父さんが「そんなことだったか」と口を開いた。