キミと掴む、第一歩。
「応募の諸々はみんなで一緒にやろう。ゆきりの夢を応援しない手はないからな」
「すごいわゆきりちゃん。どうして今まで内緒にしていたのか分からないくらい、とっても素敵なことよ!!」
口々にそう言ってくれるお父さんとお母さん。わたしはこの人たちの子供でよかった……と心底思った。
「ありがとう、お父さん、お母さん。お兄ちゃん」
「ゆきりが大物になったら、大金持ちになれるかもな」
「ちょっとお兄ちゃん!!」
ハッハッハと爆笑するお兄ちゃんには呆れるけれど、それでもやっぱり大好きなお兄ちゃんだ。
家族の協力を受けて、無事応募完了。
『俺は頑張ってる史倉が好きだよ』
何度も、なんども救ってくれる彼の言葉を胸に。
わたしは、小説家という夢への第一歩を踏み出した。
そして。
わたしが招かれたサッカーの試合、残りわずか数分の場面で。誰もが絶望しかけたその瞬間に。
瀬尾春馬という人は、ピッチに立ったのだ。