キミと掴む、第一歩。
「きゃぁぁぁぁ」
「やばい!!」
会場のボルテージは最高潮。みんなが瀬尾くんに駆け寄って、勝利を噛み締めている。
ああ、やっぱりわたしは彼が好きだ。そう自覚する。
サッカー部の輪からひとり抜けてきた瀬尾くんは、観客席に向かってくる。そして。
「雪莉」
邪魔しないようにと帰る支度をしているわたしの名前を呼んだ。
「瀬尾くん…! おつかれさま」
アタフタするわたしを見上げて、「ありがとう」と笑みを浮かべるその顔は、どこか金山くんのそれに似ていた。
「あの……足大丈夫、なの?」
「ああ、たぶん問題ない。大丈夫」
「ちゃんと病院いってね…?」
「うん。わかった」
違う。そんなことが言いたいんじゃなくて。
「……カッコよかったよ」
絞り出すような声で言うと、少し目を見開いた瀬尾くんは、照れたように頭の後ろを掻いた。
「頑張ったかいがあった」
「すごく……素敵だった」
「めっちゃ褒めてくれるじゃん」
だって本当にすごかったから。こうしてちゃんと試合を見たことがなかったから、余計に。
「監督には、俺のわがままで出してもらったんだ。だから結果残さないとな」
「でも、すごく心配した」
「ドキドキさせてごめん」
色んな意味の、ドキドキだけど。
心の中でそんなことを思っていると、ふいに視線を落とした瀬尾くんはそのまま黙り込んでしまった。
「やばい!!」
会場のボルテージは最高潮。みんなが瀬尾くんに駆け寄って、勝利を噛み締めている。
ああ、やっぱりわたしは彼が好きだ。そう自覚する。
サッカー部の輪からひとり抜けてきた瀬尾くんは、観客席に向かってくる。そして。
「雪莉」
邪魔しないようにと帰る支度をしているわたしの名前を呼んだ。
「瀬尾くん…! おつかれさま」
アタフタするわたしを見上げて、「ありがとう」と笑みを浮かべるその顔は、どこか金山くんのそれに似ていた。
「あの……足大丈夫、なの?」
「ああ、たぶん問題ない。大丈夫」
「ちゃんと病院いってね…?」
「うん。わかった」
違う。そんなことが言いたいんじゃなくて。
「……カッコよかったよ」
絞り出すような声で言うと、少し目を見開いた瀬尾くんは、照れたように頭の後ろを掻いた。
「頑張ったかいがあった」
「すごく……素敵だった」
「めっちゃ褒めてくれるじゃん」
だって本当にすごかったから。こうしてちゃんと試合を見たことがなかったから、余計に。
「監督には、俺のわがままで出してもらったんだ。だから結果残さないとな」
「でも、すごく心配した」
「ドキドキさせてごめん」
色んな意味の、ドキドキだけど。
心の中でそんなことを思っていると、ふいに視線を落とした瀬尾くんはそのまま黙り込んでしまった。