キミと掴む、第一歩。
「これ、続きないの?」

「えっ……つづき?」

「読みたいんだけど」


 そのお話はハッピーエンドで終わったから、続きなんてないんだけど……。

「続編、みたいな。書かないの?」
「……っ、書け、ないよ」

 付き合ってからのお話なんて、書いたことがないから。

 そもそも、人とお付き合いをしたことがないわたしなんかに、書けるわけがない。


「書けないって、なんで」


 迫ってくる瀬尾くんは、心底不思議そうな顔をしていた。彼の中では単純に疑問、なんだろうけれど。
 わたしには、なぜだか責められているような気がした。


「恥ずかしいよ、こんなの……」
「なんで」
「ただの、妄想だから。瀬尾くんも黒歴史だって笑うんでしょ」


 否定する言葉をつらつらと並べていくと、ふっと表情を曇らせた瀬尾くんは、眉間にシワを寄せた。

 まなざしは怒りのような、悲しみのような、それとも何か他のもののような。
 いくつかの感情が混ざったような色をしていた。


「許さない」
「……え」
「そんなふうに思わせた奴らを、許さない」
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