気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
喫煙中だったんだ。
どうりで……なんか空気が甘いと思った。
そっと吸い込むと、涙も止まる。
よかった……いなくなったわけじゃ、なかった。
「落ちついたか」
頷く。
「やっぱり、歴くんのそれ……甘いですよ」
「お前は吸っちゃだめだよ」
「………」
「……そんな甘い? これ好き?」
軽く抱き寄せられると、香りがふわっと広がり。
体の奥からじんわり温かくなって、ほどよくのぼせているような心地よさに包まれる。
歴くんの腕の中でもう一度頷いた。
「この香りがすると、歴くんが近くにいるって感じがするから……」
酔ったことはないけど、酔うって、こんな感じなんだろうな……。
と、ぼんやり思った矢先に。
「………ん、」
唇が重なる。
「れき、く…….、?」
離れたかと思えば、ふわりと体が浮いて。