気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

停電かと思ったけど、どうやら歴くんが手元で操作してくれたらしい。

………よ、よかった……。



「お前の体見て汚いとか思うわけないんだけど……。最初だけ、ね」


すぐ近くで歴くんの声がする。

見えないと見えないで、なんか違う意味でどきどきしてくる。



「でもお前の顔見えないのやだから、少しずつ明るくしてこーか」

「ぇ、う、それも困ります」

「はあ?」

「ど、どう頑張っても……歴くん好みの体じゃないから」

「まだ見せてもないのによくそんなこと言えるな」


呆れたようにため息ついてるけど、それくらいわかる。



「だって、前に……私の胸、小さいって……歴くんが」


MAPLE PALACEに送ってもったとき、車の中でそう言ってたから。



「あはは、お前そんなこと覚えてたの」

「そ、そんなことって……」

「あれ、控えめで可愛いって意味で言ったんだけど」

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