気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
乱れる月夜
𓆸 𓆸
やっぱり私はおかしくなってしまったんだと思う。
さんざん嫌われて生きてきたから、今さら他人にどう思われようが構わないはずだった。
だからチップと称して渡された大金を体で返すことを提案されたときも、この身を差し出すだけだから……と、特に抵抗も感じなかった。
なのに今は、暴力を受けた痕を見られたら気持ち悪がられるんじゃないかとか。
歴くん好みの体じゃないから、すぐに飽きられてしまうんじゃないかとか。
……そんなことばかり考えて、歴くんに捨てられることをいつのまにか恐れている。
捨てられたくないってことは、少しでも長くこの人のそばにいたいってこと?
どうしても認めたくない。
どうせ叶わないのに。
愛されたいと願って、自分にできる限りの努力を尽くしても、父も義母も見向きしなかった。
もう少し頑張ればって。次こそはって。
……もう、そんな風に期待して傷つきたくないのに。