気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
あっけなく上りつめた熱が、ぱちん、と弾ける。
その瞬間、羞恥も恐怖もどこか遠いところへ飛んでいって。
気だるい甘さだけが感覚を支配する。
「……っ、は、ぁ……」
ふと、どこかへ流されてしまいそうな不安が襲って、歴くんの体をぎゅ、と抱きしめた。
応えるように優しく腕を回してくれて、どうしてか少し涙が出た。
いつの間にか、目で輪郭を捉えられるようになっていた。
見ると、ブラインドの隙間から月明かりが差している。
この前、空を見上げたときは、真っ暗だったのに……。
「叶愛、」
呼ばれた先で、たしかに視線が絡んだ。
夜は甘く更けていく……──。