気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

あっけなく上りつめた熱が、ぱちん、と弾ける。

その瞬間、羞恥も恐怖もどこか遠いところへ飛んでいって。
気だるい甘さだけが感覚を支配する。


「……っ、は、ぁ……」


ふと、どこかへ流されてしまいそうな不安が襲って、歴くんの体をぎゅ、と抱きしめた。

応えるように優しく腕を回してくれて、どうしてか少し涙が出た。


いつの間にか、目で輪郭を捉えられるようになっていた。
見ると、ブラインドの隙間から月明かりが差している。


この前、空を見上げたときは、真っ暗だったのに……。



「叶愛、」


呼ばれた先で、たしかに視線が絡んだ。


夜は甘く更けていく……──。
< 109 / 271 >

この作品をシェア

pagetop