気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
見覚えのある顔に、緊張で上がっていた肩がすとんと落ちる。
「おはようございます、……えっと、龍さん、ですよね」
「わあ、オレの名前知ってくれてたんすか?」
「す、すみませんいきなりっ。昨日の夜、歴くんがそう呼んでたからつい……」
「それで覚えてくれてたんだ、ありがとうございます」
にこっと笑顔を向けられる。
礼儀正しくも気さくな感じだから親しみやすい。
「“龍”、でいいですよ。さんとか付けられると、違和感でぞぞーっとしちゃうんで」
「え、えっとじゃあ、龍くん、で」
そんな龍くんの手には、コンビニの袋があった。
「朝ご飯買ってきたんでどうぞ。どっち派かわかんなかったので、パンとおにぎり両方入ってます」
「ひゃ……わざわざありがとうございます」