気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

面倒くさい……。

ストレートに放たれた言葉を反芻する。


言われてみれば本当にそう。

結婚すれば、浮気は法的に罪として扱われるし。

浮気に限らずとも、色んな面で少なからず行動に制限がかかってしまうのは明らか。


考えれば考えるほどわからなくなる。
どうして私なんだろう。



「てか、歴君て裏界隈では有名でしょ。身内のオレが聞くのもなんですけど、叶愛サンは怖いとか思わないんですか?」


「それは……まあ、京櫻家のご令息なので、多少は……。でも、歴くん自身は、結構優しかったりするのかなって」


すると、くすっと笑われた。



「歴君は優しくないですよ」

「っえ、でも……、私がお金に困ってたから、同情でチップをくれたりして……」

「歴君は同情の心なんて持ってません。人じゃないので」


そう言い切った龍くんは、変わらずにこにこしていて。

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