気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

人じゃないなんて、意外にも容赦のない言い方をするんだなあと驚く。

だけど、歴くんの人格を否定する意味には聞こえなかった。



「さっきの話。側近は三人しかいないって言いましたけど、実のところ三人に減ったんです」

「……え」

「もともと七人いたうちの四人を、歴君が“だめにしちゃった”んですよ。オレは言わば生き残りですね」

「………」


比喩的な表現なのか、具体的な話なのか。
尋ねるのは少し怖い。


歴くんの瞳には常にぞっとするくらいの冷たさがあるのは間違いない。

優しさを感じる笑顔も、言葉も、行動も、その冷たさの上にすべて乗っかている感じは、決して剥がれることのない仮面をつけているようにも思える。


それでも……。



「歴くんの手のひらはあったかかったです。ちゃんと人ですよ」



私がそう零すと、絶えず変わらなかった彼の表情がふと崩れる。


「あーあ。初めて論破されちゃった」


能面のようにおしとやかだった笑顔が、明るく色づいた瞬間だった。

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