気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「わかんねぇよ。相手がしぶとく口割らない可能性も……」

「ゼロっすね。歴君は良くも悪くもゴーモンの天才っすよ。毎回毎回、生かさず殺さず、そいつの脳みそん中のいらない情報まで余さず引っこ抜いてくるんで困ったもんです」


ぎょっとする。

今、とても治安の悪いワードが聞こえたような……。



「やめてやれ龍。そこの子青くなってるぞ」


龍くんの視線がスライドしてくると、背筋にピンと力が入った。


「あ、すいませんね、ついいつもの調子で喋っちゃって」

「い、いえ」


否定しないってことは、本当なんだ。


「ゴーモンなんて本来下っ端の仕事っすよ。部下に任せりゃいいのに、歴君てば昔っから下仕事ばっかやりたがって」

「昔から……ですか」

「はい。もうそれは五歳くらいのときから、幹部補佐の連中について回って雑用なんかも全部“俺にもやらせてー”ってせがんでたらしいです。なあ?」


と、龍くんに視線を投げられた相手は、「ああ」と苦く笑ってみせる。
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