気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

ぐるぐる考えているうちにも歴くんは服の裾をまくり上げようとしてくるから。


「待って……っ、脱がさないで、ください」


必死に懇願する。


また……だ。
私はこの人に幻滅されるのを怖がってる。



「お前が悪いのに、俺に言うことを聞かせようって?」

「……え?」

「言ったろ、あとで覚えとけって」



確かに言われたけど……。

あれは勢いで頷いてしまっただけ。

私が悪い……?
何か気に障るようなことでもしちゃった……?


頭が焦りとハテナで覆いつくされる。



「友達みたいに名前呼んでるし意味わかんねえ」

「名、前?」

「龍くん~って」



そう言われ、ようやくハッと気づいた。



「歴くんのお付きの人相手に、失礼ですよね、すみませんでした」

「は?」

「え?」

「……もーいーよ。お前がそう思ってるならそれで」

「………」

「いやでも無自覚って一番タチ悪いからな……」

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