気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
横暴なのに嫌じゃない。

相手は歴くんだからいいやと思ってしまう。

妥協でも諦めでもなく、歴くんは、歴くんらしいこの横暴な感じがむしろ安心する。

……そんな風に感じる私は、やっぱりおかしいんだと思う。


だけど。



「しれっと脱がさないでください……っ」

「バレたか」

「笑い事じゃなくて、」

「はいはい、わかった。今日は着たまましよーな」

「ん……んっ、」


あっさり絡めとられて、ぐたっとなる。

毒が回るかの如く力を奪われ、思考を奪われ。



「そんなとこ触っちゃだめです……あぁ、っ」



……しまいには、理性まで。



出会ったときと同じように、頭の中で警報が鳴り響く。


この(ひと)は、私の心も体もまるごと支配する

危険なケダモノ……――。


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