気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


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気が付くとベッドに寝かされていた。

どうやら途中で意識が飛んだのを歴くんが運んでくれたみたい。
丁寧に毛布まで掛けてくれていた。


室内はもう真っ暗で、夜だと気づく。


体……まだ気だるい感じ。
起き上がるのは少しきついけど、荷物の整理もしてなかったし……。

そう奮い立たせて上半身を起こした。


歴くんの姿を探すけど、隣にはいないみたいで。

見渡すと、壁で仕切られた隣の部屋から、小さく明かりが漏れているのが見えた。


ほんの少し開いてる扉の隙間から中を覗くと、パソコンに向き合っている歴くんがいた。


お仕事中かな……。


邪魔したらだめだと思って足を引けば、気配に気づいたのか、歴くんがぴたりと動きを止める。

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