気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
──で。
退屈のあまりシゴトで遊びすぎた結果。
さすがに多くを抱えすぎて、急にすべてが面倒になったのがつい最近。
人前では京櫻の品位を守るために一応いい顔をしているが、
手がけた事業がどうなろうと知ったことじゃないので実際は責任感のせの字もなく。
失踪でもしてやろうかと、龍の運転する車の中で考えていたとき。
繁華街沿いの道で、やけに品のいい女が歩いているなと珍しく目を引かれた。
その女がMAPLE PALACEの裏口から中に入っていった光景を、なんとなく頭の片隅に留めたつもりだったが、
ただ一瞬目を引かれただけで興味になるには足りず。
──────あの日、店先で鉢合わせるまでの間、すっかり綺麗に忘れていた。