気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

でも、お仕事から帰ってきてすぐや、家で誰かとお仕事の電話をしているときなんかは、やっぱりぞっとするくらい冷たく感じる。

裏社会に生きる人なんだなって実感する。

その度に歴くんとの距離を感じて、少し……寂しくなる。



ちょっと優しくしてくれるからって。
私を求めてくれるからって。

単純すぎて自分でも笑えるけど、私の中で歴くんの存在が大きくなっているのは確かだった。


優しくしてくれるのはどうせ全部歴くんの気まぐれなのに。

私がお金を返したいと言ったことをきっかけに始まった、体を求められるだけの都合のいい存在でしかないのに。


好きになっても、いいことないのに……──────。



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