気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
冷えきった手
side歴
side歴
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𓆸 𓆸
「ご無沙汰しております。黒菊様」
この男と対面するのは、四年ぶりくらいか。
社交会で一度挨拶を交わしたっきりの関係だったから、今の今まで顔も思い出せなかった。
屋敷に入った瞬間からかなり警戒されているようだった。
廊下の隅々に護衛を立てて、俺を部屋に案内する際もあらゆる箇所から殺気を感じた。
応接間に入ると、テーブルの脚に小型カメラが見えた。
恐らくソファの裏あたりには盗聴器でも仕掛けてあるんだろう。
俺が旦那を手にかけるとでも思っているんだろうか。
周りが京櫻に抱いているイメージが手に取るように伝わってくる。
実際、イメージに違いないこともやっているのだから仕方がない。
「本日はお時間を頂き誠にありがとうございます」
深く頭を下げた。
座るよう促され、ひとまず安心する。