気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


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夜ご飯はビーフシチューにした。

お肉を柔らかく煮込むことに成功して、思わず口元が緩む。


味見してみても、いい感じ。
コクもあって我ながら上手くできたと思う。


匂いにつられてやって来たまろんが、足元で「ナァーン」と鳴く。



「へへっ、美味しそうでしょ? まろんにも、あとで味付けしてないお肉をあげるね」



まろんを拾ったときに、猫のことを図書館でしっかり調べた。


牛肉は鶏や豚に比べて菌も少ないので、生じゃなければ猫に与えても問題ないと書いてあった。

それに、タンパク質やビタミンAも豊富に含まれてるから、体にもいいみたい。

人間の味付けだと塩分過多になってしまうから、そこだけは注意しないといけないけど。



鍋の火を止める。

冷めないうちに帰ってきてくれるといいなあ……。

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