気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
──と、思っていたけれど。
夜の九時を回っても、歴くんは帰ってこなかった。
お腹が空いたけど、一緒に食べたかったから我慢して、ひとまずお風呂に入ることにする。
お風呂から上がったときには歴くんが帰ってきてるといいなと思って、なんとなく長風呂をしてしまう。
そんな願いは叶うことなく、時計は十時半を回り。
さすがに、もうこの時間ともなれば外で食事を済ませているはずだよね、と、ひとりぶんだけお皿によそった。
忙しいって話だったし……しょうがない。
煮込み料理は日もちするし、明日にでも食べてくれるといいな。
広いダイニングで、ひとり手を合わせる。
味見のときはあんなに美味しく感じたのに、今はやけに味が薄く感じて。
……ああ、離れにいたときもこんな感じだったなって。
少しだけ寂しい気持ちが蘇った。