気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
急に力が抜けて、玄関の壁にずるずると座りこんでしまった。
乱れた呼吸を整えながら歴くんを見上げる。
相変わらず冷たい瞳が見下ろしてくる。
いつもと全然違う。
──────ううん、これが本来の歴くんだ。
この一週間様子がおかしかっただけで、初めに会ったときからこの人は冷たかった。
『酷くしても文句言うなよ』
『俺がああしろこうしろって言うこと全部聞けよ』
『死ねって言ったら死ねよ』
思えば、あの時点ですでに、他でもない本人から警告を受けていたのに。
優しくしてもらえることが当たり前だと、いつから勘違いしていたんだろう。
冷たくなったんじゃなくて、これが普通なんだ。