気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
あのあとすぐ、歴くんは仕事の電話を受けて家を出ていった。
乱れた服をゆっくりと整えてダイニングに戻っても、食欲なんて当然わいてこない。
ビーフシチューの入った鍋の前にしばらく呆然と立ち尽くしていた。
それをまた冷蔵庫に戻す気力もなく。
課題にも手がもつかず。
まだ少し濡れていた髪を乾かすこともしないまま、ベッドに倒れ込んだ。
――やけに長い夜だった。
それから数日、歴くんは帰ってこなかった。