気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

「黒菊さん、また顔色悪いよ。大丈夫……?」

「そうかな? 別になんともないよ、ありがとう」



休み時間、またもクラスメイトに心配をかけてしまった。

周りに気を使わせてしまうなんて、本当に私はだめだな……。



なんともないよと口では言いながらも、本当は頭も痛いし、少し寒気もする。


風邪ひいちゃったかな。

今日は帰ったら早めに休んだほうがいいかもしれない。

……でも、もしかしたら歴くんが帰ってくるかもしれないから、お夕飯はつくりたいな。


そんなことを考えながら、なんとか気力を保って放課後までやり過ごした。




今日は豚肉の生姜焼きに、小松菜と豆腐のお吸い物。

簡単なものになっちゃったけど……とりあえずできたからよし。


安心したのもつかの間、寒気がぞくぞくっと足元から這い上がってきて。


――あ……。


くらっと眩暈がした。

体が傾いていくのがわかっても、支える力が働かない。


視界が徐々にぼやけて、意識が遠のいていくのがわかった。


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