気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
微睡みの記憶
side歴
──────
𓆸 𓆸
「歴君、もーうだめですよ。あとはオレがやっときますから帰ってください」
さっきから同じセリフばかり投げてくる龍が、いい加減うるさくなって立ち上がった。
「そうですそうです。喧嘩は早めに話し合って仲直りすべきです! こじれるとのちのち厄介ですからねー」
喧嘩なんてぬるいものじゃない。
叶愛は俺に抱かれながら、時おりたまらなく甘い表情を見せていた。
そのたびにうっかり自惚れかけていたのを思い出しては笑ってしまう。
あの子は、俺を通して別の好きな男を見ていただけだ。
『おかえりなさい、歴くん』
別の男を想いながら、よくもそんな優しい顔ができるな。
大した演技力……尊敬する。
気づけばそんなどす黒い感情に呑まれて、手酷く抱いてしまった。
叶愛の怯えた顔が頭に焼き付いて離れない。