気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
体を丁寧に抱き起こすと、瞼がかすかに開いて安堵する。
「だいぶ熱があるな……。平気?」
「……、……歴くん……?」
不安そうに名前を呼ばれる。
もしかしたら俺のことを怖がってるのかもしれない。
そう思って思わず目を逸らしてしまう。
「……よかった。……もう、帰ってきてくれないかと、思ってました」
刹那、喉の奥をぐっと絞められたかのように苦しくなる。
「俺のこと……待ってたの?」
「はい……」
「……あんなに酷いことされたのに?」
「……。……歴くんには、何されても大丈夫です」
「………」
「帰ってきてくれないことのほうが……ずっと辛かったです」
そこまで言うと、叶愛はまたぐったりと目を閉じた。
この数日間、俺はなに馬鹿なことしていたんだろう。
この子をひとりにするなんて……。
「待っててくれてありがとう。……帰るの遅くなってごめんな」