気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
ひとまずベッドに寝かせたあと、叶愛が少しでも食べられそうなものはないかと台所に急ぐ。
そこでふと、テーブルの上に二枚の皿が並んでいることに気づいた。
もしかしなくても俺の分だ。
コンロに乗っかっている鍋の蓋をとると、わずかに湯気が立ちのぼった。
はっと胸を突かれる。
体調が悪いのに作ってくれていたんだ。
帰るかもわからない俺のために……。
眩暈がするほどの後悔に襲われた。
激しい動悸が止まらない。
自分に殺意を覚えたのは初めてだった。
夕飯をつくってくれたのは、恐らく今日だけじゃないはずだ。
冷蔵庫を覗けば、案の定、ラップに包まれた皿があった。
ゴミ箱には残飯を入れたであろうポリ袋も……。
「っ……――」