気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

「叶愛、少し起きれるか」


寝室に入ってそっと声を掛けると、相変わらずどこか視軸の定まっていない瞳に捉えられる。


「歴くん……夢じゃなかった……よかった」


そう言ってにこっと微笑むので不覚にも胸が音を立てた。



「夢、って?」

「歴くん、帰ってきたと思ったけど……、さっき目が覚めたら部屋にいなかったから、もしかしたら夢だったのかなって。……会いたすぎて、そういう夢を見ちゃったのかなって」

「っ、」


不覚が重なってどうにかなりそうだった。

この子、普段から全部の言動が可愛いけど……。
熱で弱ってたらこんなに素直になるのか……。



「現実だよ。ほら、ちゃんと触れるだろ」


小さな手にそっと自分のを重ねる。


「ほんとだ……触れるね、へへっ」


またしても不覚だった。

鼓動が速まる気配がする。
……しかも、ぎゅう、と握り返してくるから。



「あのな、叶愛……」

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