気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
酷い男
𓆸 𓆸


「………、歴くんがいる」


起きてから、もう何度隣を確認したかわからない。


間違いない。

ぽかぽかする体温も、甘い匂いも全部歴くんのものだ。


昨日の記憶があいまいだった。

というより、どこまでが夢でどこからが現実なのかがわからないと言った感じ。



ダイニングで倒れてしまったとき、歴くんが抱きかかえてくれたこと。


あまりにも自分に都合のよすぎるタイミングだったので、そのときは夢だと思ったけど、たぶん現実。


次に気がついたときはベッドに寝ていて。

だけど傍に歴くんの気配がなかったので、自力でここまで歩いてきたのかもしれないと思った。


そう思っているうちに、またも都合のいいタイミングで歴くんが現れて、

おまけにとんでもなく優しく声を掛けてくれたのでこれも夢だと思った……けど、たぶん現実。


あとは……小さな子どもみたいに甘えてしまった記憶があるけど……。

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