気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
顔が赤いのは、歴くんが隣にいるからだよ……。
「でもほんとに、昨日のキツさが嘘みたいに治ってます。たぶん、熱もほとんどないし……歴くんが看病してくれたおかげです」
「ふーん。てか、敬語に戻っちゃったんだ」
「……え?」
うまく聞き取れなくて首を傾げる。
歴くんは「別に」と少し笑ってから、上半身を起こした。かと思えば。
「………ごめん」
ふと、暗い声を落とした。
突然の『ごめん』に、困惑した。
歴くんほど謝罪の言葉が似合わない人はいない。
「夕飯、毎日つくってくれてたのに、帰りもせずに」
「っ、や……それは、私が勝手につくったものなので全然気にしないでください」
しまった。
いらない気を遣わせてしまった……と焦りが走って。
「歴くんに食べてほしいっていうより、私が歴くんと一緒に食べたかっただけなんです」
つい、余計なことまで喋ってしまう。