気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

顔が赤いのは、歴くんが隣にいるからだよ……。



「でもほんとに、昨日のキツさが嘘みたいに治ってます。たぶん、熱もほとんどないし……歴くんが看病してくれたおかげです」

「ふーん。てか、敬語に戻っちゃったんだ」

「……え?」



うまく聞き取れなくて首を傾げる。

歴くんは「別に」と少し笑ってから、上半身を起こした。かと思えば。



「………ごめん」

ふと、暗い声を落とした。

突然の『ごめん』に、困惑した。

歴くんほど謝罪の言葉が似合わない人はいない。


「夕飯、毎日つくってくれてたのに、帰りもせずに」

「っ、や……それは、私が勝手につくったものなので全然気にしないでください」


しまった。
いらない気を遣わせてしまった……と焦りが走って。


「歴くんに食べてほしいっていうより、私が歴くんと一緒に食べたかっただけなんです」


つい、余計なことまで喋ってしまう。

< 186 / 271 >

この作品をシェア

pagetop