気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

図星を突かれて言葉を失った。

そうだった。


虐待を受けても、お父さんは私を恨んでいるからこの仕打ちは当然だと思い込まなきゃ耐えられなかった。

お義母さんは、私がお父さんの前妻に似てるから、煙たがられて、暴言を吐かれるのは“普通”のことだって。


じゃないと、自分は可哀想な子だって自覚しなきゃいけなくなるから……。


どうして歴くんは何もかもお見通しなの?


自分を暴かれるのは怖い。

でも……。



「叶愛、こっち向いて」

「………、や」

「お前は俺に愛されるのが普通なんだよ。わかったか」


歴くんは、無理やり暴いた場所にいつだって優しく触れてくれる。

酷いだけじゃないところが。
優しいだけじゃないところが。


酷くて、優しい歴くんが……どうしようもないくらい好き。
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