気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
残念そうなきらりさんには申し訳ないけど、よかった……。
──そんな脳内を見透かしたかのようなタイミングで、京櫻さんが口を開く。
「今日この子に付いてもらいたいんだけど、できます?」
………え?
その言葉に、後ろの彼もきらりさんも、言わずもがな私もフリーズした。
いち早く我を取り戻したのは、きらりさん。
「畏まりましたあっ! ノアたんが専属で精一杯ご給仕させていただきますっ!!」
さあノアたん!と、背中をバシバシ叩かれる。
「歴君、何言ってるんですかあんた」
「あとの予定なんざテキトウに潰すからいーんだよ」
焦る用心棒さんを一言で黙らせた彼を横目に、なんとか頭を稼働させた。
半ば放心状態でお席にご案内したあと、「一旦失礼いたします」と告げ、
私は逃げるようにカウンターへ走った。