気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
無自覚な衝動
𓆸 𓆸


あれから約一ヶ月。


歴くんの帰りを待つことはなくなった。


というのも、学校が終わると、マンションではなく、歴くんの事務所に連れて行ってもらえるようになったからだ。


私がお願いしたわけじゃなく、歴くんのはからい。


事務所の役員の人たちにも迷惑だろうと何度も断ったけど、歴くんは聞いてくれず。

「一緒にいたいから」と言われれば、嬉しくてつい頷いてしまった。



役員は怖い見た目の人たちばかりで最初は正直怖かったけど、

歴くんが外出してたり来客があってたりするときはいつも気にかけてくれる。


昨日なんか、

「叶愛さんが来てから、(かしら)がずいぶん優しくなってシゴトがやりやすくなりましたよ」

とまで言われてしまった。


もちろん、私が肩身のせまい思いをしないようにと気を遣ってくれただけだとは思うけど、やっぱり嬉しい。

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