気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
自分のことを歴くんにとっての道具だとはもう思わなくなったけど、恋人だなんて自惚れたりもしない。
クラスメイトとグループで恋愛の話になったとき、ひとりの子が『男の人は好きじゃなくてもやれる』って言ってた。
別の子は『体の関係はあるのに好きって言われないのは、ただ遊ばれてるだけ』だとも。
歴くんは遊びで私を相手してるわけじゃないって。
もっと大事に想ってくれてるって自負はある。
でも、好きって言われたことがないのは紛れもない事実。
そして最後。
『体から始まった関係じゃ、絶対恋人になれない』
そんな話にトドメを刺された。
……わかってる。
私が歴くんと本当の意味で結ばれるわけないって。
黒菊家だからとか、京櫻家だからとか、そういう問題じゃなくて。
なんていうか歴くんと比べて、自分があまりにも子どもだから。
お仕事をする歴くんに触れる機会が多くなって、それを痛いほど実感した。