気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「叶愛ちゃんとの縁談の話を聞いたとき、すごく嬉しかった……。運命かなって思って、その日が来るのが待ち遠しくて」
蘭野くんみたいな人が、朝からこんな嘘をつくとは思えない。
好きでいてくれたなんて全然気づかなかった……。
嬉しいけど、気持ちに答えることはできない。
「結婚してくれるよね? 絶対幸せにする。お金にも不自由させないし、服もバッグも宝石もなんでも買ってあげる」
「ま、待ってください。お気持ちはとても嬉しいです。私なんかを好きになってくださってありがとうございます……。でも、結婚の話をお受けすることはできません」
「っ、どうして? だって今彼氏とかもいないんでしょ? 他の家から縁談の話も来てないよね?」
「それは……」
そうだった。
歴くんとの婚約は公にはならないことになってる。
家のためにも京櫻家との関係は隠さなくちゃいけない。